昔気質の主人公の場面では狂言や浪曲によって場面展開され、現代気質の共演者の場面ではジャズやツイストによって場面展開されるという、いまだかつて観たことない映画で笑ってしまう。主人公が布団からお経のリズムで起き上がるシーンがかなり笑えて繰り返し観てしまった。こういうのをカルト映画ていうんじゃないのかな。
選曲もいいし、アコースティック主体の、でも手を変え品を変えのアレンジ(井上鑑さんですか?)、凄腕ミュージシャンで固めたバックに福山のヴォーカル、全部ががいいです。彼はやっぱりタダものではなかった。
ミュージック・フェアの出演分だけを、繋げて製作されているのですが
この番組特有のシンプルなセットが、越路吹雪さんと曲の個性をうまく引き立てていると思います。
表現力においては、比類ない越路さんが『歌う』というよりも、ミュージカルや一人芝居のごとく魅せてくれます。
おしゃれで知られる彼女のスタイリッシュな衣装は、今見ても全然古さを感じさせません。
晩年の声が太くなった彼女も、ますます表現力に磨きがかかって魅力的です。
ただ、欲をいえばもう少し曲数が多いといいかな。
名曲『ろくでなし』が入っていないのも残念です。
とはいえCDとはまた違う、見て聞く楽しさ。
見終わると、越路吹雪ワールドに引き込まれている、そんな作品です。
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