賭人としてギャンブル界隈では有名な著者。
長年勝ち続けているという実績に裏打ちされたバクチ論はさすが。
本当に勝っているかどうか、ということが気になる人もいるでしょうが、
行間からにじみ出るリアリティが、
勝ち負けはともかく、本当に戦ってきた人の記録であることを語っています。
私はカジノでは例外無くみんな負けるという持論を持っていますが、
そんなことを忘れるくらい、信じてみたくなるエピソードが並んでいます。
阿佐田哲也が好きな人は、ハマると思いますがいかがでしょう?
少なくとも、この著者の本はもっと売れるべきだと思います。
この作品はいきなり「帝国ホテルのカレーライス」から始まる。森巣ファンならちょっとがっかりするかもしれないが、その不安は見事に解決される。クスリの正しい使い方に始まり、アンダーグランドカジノ(アングラ)、警察官僚の腐敗などがリアリティーをもって描写されている。わたしはその筋に疎いのでわからないが、おそらく事実なのであろう。そしてこのような社会の矛盾に立ち向かう「ハーフウエイ・ハウス・希望」の面々が希望を求めてオーストラリア・クラウンカシノに乗り込む。30万ドル、一撃離脱のバカラ一本勝負だ。結果は2枚の持ち札が3という極めて低い数字で勝利してしまう。バカラを打ち慣れた人ならわかると思うが、これは痛快な勝利。持ち札の合計が5でも3でいい。極端にいえば、そこに「希望」があれば1でもいい。森巣氏の言葉を借りればカシノとは人が「夢をみること」と「祈る」ことが許された場所である。人は希望があれば生きていける。「夢をみること」と「祈る」は人間の特権である。しかし、今の社会にはそれが失われつつある。著者のそんな危機感が、この傑作を生んだのだろう。
事実(ファクト)をちょうどよく織り交ぜたフィクション(ファクションと著者は呼んでいる)
で、非常にインパクトのある作品。
扱っている題材は、カシノで繰り広げられる牌九という耳慣れないゲーム。
でもそこで語られているのは、人生観、価値観、死生観など。
読み応えは十分である。
本巻では牌九の簡単なルール解説もあって、駆け引きをより楽しめる内容になっている。
森達也・森巣博のモリモリコンビ。
最近は、めっきりテレビを見なくなった…。ドラマもニュースもバラエティも、見なくなった。たまに、お笑いを見るけども、毎週かかさず見るわけでもないし。
テレビが面白くなくなったのか、僕の感じ方が変わったのか…。ま、よくわかんないけども。ニュースとか見てても、キャスターの言う事が、いちいち気になったりしてね。そういうのが増えた。メディアのあり方にも、なんとなく違和感があってね。
そんなこんなで森森コンビの対談は、とっても楽しく読んだし、そうかそうかと、うなずく所も多かった。勉強になった。ただ、余計にメディアに対する違和感は増した気がする…。
このふたり、なかなかなやり手ですな。森達也さんは、ドキュメンタリー作家で、オウム真理教についての映画『A』で有名。森巣博さんは、オーストリア在住の国際的博打師で、異色の作家。二人とも、容赦ない語りっぷり。気持ちよい。昨今のマスメディアの機能不全をばっさばっさ叩き切って行く。こういう、歯に衣を着せない物言いって、僕は大好き。もっといけ、もっとやれっ、って思う。
みなさんも、テレビとか見てて、「ちょっと違うんじゃないかっ」とか思うこと多々あると思うけど、これ読むと、問題の根は思った以上に深いんだな、と思うんじゃないんかな〜。気になった方は是非どうぞ。新書だから、気軽に読めますよ^^
美人の雑誌編集者が中年のばくち打ちと出会い、ギャンブルの愉悦に身をゆだねる。
著者お得意の舞台設定で、またいつもの感じの話しの展開かと思っていたら、
途中から張られていた伏線が効果を現してきて、一気に読み切ってしまいました。
ある程度先が分かってからも、グイグイ引き込まれる描写にやられた感じです。
あと、いつもの森巣博を期待していたら微妙にすかされること請け合い。
もちろん「合意の略奪闘争」「死屍累々、厭になるほど死屍累々」等の森巣節は健在です。
また日本社会を茶化した(?)描写もいつも通りで、このあたりは予定調和の世界。
ただ今までとは何か違った印象を受けた作品でした。
いつもの森巣節を期待している方にはもちろん、
そろそろワンパターンで飽きてきたかな?と思われている方にもお勧めです。
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