エマニュエル夫人ではちょっと陰鬱な感じで好きになれませんでしたが、この作品ではシルビア・クリステルの明るい性格が出ていて楽しい作品になっていると思います。
ソロ30年にして初のシングル曲中心best盤。誰もが望んでいたDavidの初期ポートレートをあしらったデジパック仕様。初回限定とも聞くから要注意。 (デジパックは2012/2/27リリースのもの。日本盤は全く出る気配なしのEMI-JAPANは全くやる気なし。) JAPAN時代からセールスに全く色目を使わず、常に前進を続けてきたゆえ色褪せた曲が皆無。時を経て全てが熟成されている。 今、手放しで名盤扱いされる『Secrets of the Beehive』や『Gone To Earth』だって初出時は「難解」と言われていたのだ(ミーハーどもだけでなく評論家にも)。 これはリアルタイムで見てきた事実である。 BowieやFerryと比べても修羅の道だったけれど素晴らしい足跡じゃないか。Disc2-「15」は新曲。本盤はビギナー向けにピッタリでこれは売れるでしょう。
以下、コア層向けレビュー。 上記の新曲を除くとリマスターはされているがレア音源は無い。 「Bamboo Houses」(元version)と「Bamboo music」が最新リマスターなのは嬉しい。 シングルでも「Darshan」と「Godman」は外して大正解。 「Heartbeat」もクレジットだけ見るとこれはremixじゃない元versionか?もう一回CD-Singleと聞き比べないと。
しかし未だにCD化されないDisc1-「2」「3」「5」「7」の7-inch-edit、「8」の12inch-remixはどうしても収録してほしかった。Disc2-「3」「8」のsingle-editなんかもそう。 「Forbidden Colours」は元versionを期待したがsingle「Red Guitar」B面の再録。(坂本龍一『Cinemage』あるいは『moto-tronic』に隠れた第三のversionがありこれは必聴) あれ、そういえば「World Citizen」(♪world is suffering〜のほう)は未収録か。 「Ghosts」は『Everything & Nothing』のvocal再録version、Rain tree CrowのDisc1-「14」「15」とかはJAPANなんだから、 live-onlyの名曲「Blue Skinned Gods」、「Zero Landmine」のpiano-vocal-version等を入れてマニアも満たしてくれないと。
Disc1-「3」「4」「5」「6」「7」「9」「11」「14」「16」、Disc2-「1」「12」はPVがあるんだから、もういい加減にDVD化してくれないか? 2012年tourは腰痛の為キャンセルされてしまった。早く快癒してまた来日してほしい。 それと長く待たされたMick Karnの遺作Dali’s Carミニアルバムも4月リリース決定。only特典アリの日本盤を買おう。
「Blemish」以降のオリジナル作品での孤高の実験精神と美しさを僕は今でも絶賛するが、一方でその静けさと緊張感故に、聴くシチュエーションが限られてしまっていたのも事実である。
本盤の場合、ここ10年程の音の成果を整理しなおしたものだが、オリジナルからより聴き易く手を加えられていたりして、他のレビュアーの方も触れられているとおり、単なる寄せ集めではなく一個の独立したアート・パッケージとして成立している。何よりも、この10年程の様々な名義での音楽的実験とデビの人生が全て「必然」として消化・蓄積され、本盤の「穏やかさ」に結晶しているという事実に僕は感動する。
なお、ジャケットはクリスタマス・クラウシュという女流写真家のセルフ・ポートレイト(!)で、一言で言い切ってしまうと若くて綺麗な時しかできないゴスな作風の人なのだが、その儚さが暗さと美しさに同居した作品は本盤の枯れた音世界にある種の若々しさとエロティックさ、一度見たら忘れられない鮮烈な印象を添えてくれている。ナイス・アシストだ。(彼女の他作品は公式ページで公開されているので、興味のある方はkristamasで検索してみてください。)
最終幕の挿絵がなかったのが-1!中身は恋仲になってからの話!内容もいいし挿絵自体も上手いので最終幕に挿絵があれば私的には文句なしの☆5!何よりマリアがいい味出してる!
高等数学、経済理論、精神医学、戦後アメリカ政治、どれも一般受けする内容ではありません。主人公自身、はじめは冷酷でスキャンダラスな、親しみの持てないエリートとして描かれます。しかしこの本は、これら全てをある程度理解する知性と、世界中の関係者に充分取材する行動力がなければ執筆できません。一流紙の記者とはいえ、著者ナサー氏が払ったであろう膨大な努力に頭が下がります。おそらく著者には、現在のナッシュ氏がさぞや魅力的な人物に映ったのでしょう。何か原動力がなければ、ここまで密度の濃い伝記は書けないはずです。
そして、現在のナッシュ氏の寛大さにも敬意を憶えます。よって☆5つです。不祥事さえ赤裸々に描いたにもかかわらず、本人現役中(存命中じゃありません)に発表できたのは驚くべきことです。日本版あとがきによれば、ナッシュ氏は内容を讃えてさえいます。不祥事を書かれてあえて讃える有名人など、他に何人いるでしょうか。まして映画化などもっての他です。氏という回復例の存在は、同じ病に苦しむ人々にとって大きな希望である事は疑いありません。その事を自覚しているから、数学と関係のない不祥事やプライバシーに関してさえ、氏は公表を認めたのでしょう。
(ちなみに映画版でナッシュを演じたラッセル・クロウは、若き日の氏の雰囲気をうまく伝えています。それもこの本の写真で分かります)
一個人の伝記でありながら上記の全てが関わってくる上に、下は便所の破廉恥罪から上はノーベル賞受賞まで、毀誉褒貶の人生が600ページ。読みどころは人それぞれで、きっと数学史や経済学史としても読めるのでしょう。
私は、粘り強い闘病記、または傲慢だった天才の人格成長記として読みました。特にナッシュ氏と同年代の患者を身内に持つため、氏の治療法と20世紀精神医療の発展史に深く興味を覚え読み進めました。経済記者の著者には畑違いのはずですが、病気の描写と説明は的確で信頼が置けます。医療史としての史料価値は高いと言えます。翻訳者も苦労されたでしょうが説明は的を得ており、当時の雰囲気も人物も、生き生きと良く伝わってきます。なお、氏が受けた治療とそれへの意見はそのまま参考にはできません。今の精神医療は、当時より遥かに安全で効果の高い薬物療法が主流ですし、治療には当然個人差があるからです。
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