ゲーム、テレビヒーロー、アニメ、世界名作劇場、マンガ、児童文学と、膨大なコンテンツを、「大人と子ども」という目線から歴史的にまとめあげた、大変な労作であると思います。
まず著者の咀嚼力には独自なものがあり、たとえば伊藤剛の「キャラ」「キャラクター」の定義を、「キャラとは、成長すると気持ち悪い存在」「キャラクターとは、成長しないと気持ち悪い存在」とまとめてしまったところは,一瞬違和感を感じたのちに、なるほど「成長」の観点から見ればそうも言えるかなとうなずかざるを得ませんでした。いろいろなところで著者の個性の濃さを感じます。
そして成長すなわち「大人と子ども」という視点は、「作り手と受け手(子ども)」という構図をも導くわけで、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」の制作現場の狙いと子どもの年齢層とのズレなどにも多くのページが割かれるのも興味深いところです。その中では、ガンダム以前と以降では、ヴィデオ録画ができるようになったために、まったく違う受け止め方がされている、という指摘が面白いものでした。以前の世代は、自分の成長の思い出としてアニメや漫画を語るのに対し、以後の世代はそれを、何度も繰り返し見られるがゆえに、アイデンティティとしてずっと抱えてゆく、というのです(そのあたりも成長しない子どもという見方につながっていきます)。
また驚いたのは、少女向けTVアニメ(魔法少女もの)が、ずっと遅れて始まり、しかも少年の欲望に消費される種子を最初から内包していたのは、現場の作り手が男性ばかりだったからだ、という指摘でした。確かにその通りかもしれず、目から鱗が落ちた論点でした。
「世界名作劇場」という大人から承認される「ほのぼの」名作に対する辛口の突っ込み方も面白く、けっきょくヒーローもの、怪獣もののほうが延命してゆく経緯も読み応えがありました。孤児という物語が、子どもを自由にし、想像力を解放させるが、その子が家族形態に吸収されることで、等価交換としてその想像力を失ってゆく、など、児童文学らしい読み解きもありました。 副題である「子どもの物語がなぜ、成長を描かなくなったのか」については、事実の経緯を追っているのにとどまり、これという指摘はなされませんでした。それは本書が「大人と子ども」の関係性という角度を中心に、時代を読み解こうとしているからで、これは仕方がないと思います。納得のゆく回答を出そうとするには、むしろ情報環境のめまぐるしい進化、それに伴う世界観(リアルとは何か)の変化というもっと大きなパースペクティブが必要で、それはとうてい新書の厚さで語りつくせるものではないでしょう。
しいていえば、ゼロ年代以降の「仮面ライダー」や「ウルトラマン」、そして「ガンダム」を扱う部分はもう少し明確な総括視点がほしかった、という感は残りますが、このサイズの本で、これだけの内容をふところに入れて語りきった筆力と粘りはなみたいていのものではありません。子どもの文化に関心を持つ人は必読です。 最後に。コストの関係なのかもしれませんが、一枚の図版も入っていないことが残念でなりません。
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