監視カメラと優しい、行き届きすぎる両親により育てられた子供たちの驚愕の衝動が表現されている。 マスコミや様々な映像の影響で人の命自体が軽くなりつつあるこの現代社会において、我々の心の奥底には同じような願望が潜んでいるのではないかということを考えさせられた。 それは人間が本来もつ野生の本能をどのように処理していくべきかということにもつながっていく。 うまく処理できないとこの小説で書かれたような事件が起きるであろうということが予想できる。
THIN1 LIZZYの影響がちょくちょく見える 前作、前々作の延長線上の作品。 いい作品だと思うが、DEATH OR GLORYを頂点に考える人(僕とか…) には抑え目に映る。 もっとギターがガツンと来てほしいな。
山中千尋さんが、Oscar Petersonに捧げた「After Hours」を聞いたときにビックリして大ファンになりましたが、今度のBenny Goodmanに捧げるこのアルバム「Runnin' Wild」を聴いて、更にその驚きはゾクゾクするほどのものとなりました。 山中さんの表現力、テクニック、センスなどは、今の日本ジャズ界におけるピアニストの中では最高ではないでしょうか? まず、バンドの編成ですが、クラリネット、ヴァイブ、ギター、ピアノ、ベース、ドラムの6人でベニー・グッドマンの曲を再現するには完璧な編成です。
最初の曲、If I Had Youはたった31秒の短い曲ですが、ホンキートンクピアノ調で録音も古臭い演出で幕開けで意外さにビックリ。ところが、次のAirmail Specialは、原曲のスインギーでアップテンポのリズムをガラリと変えて8ビートでモダンに迫ります。この1曲目と2曲目のギャップが面白いです。全部で14曲収録されていますが、例えば、Slipped Discは原曲の雰囲気をそのまま生かしたスイング調、Smoke Gets in Your Eyesはモダンなバラード調がいいし、These Foolish Thingsはギターのイントロに続いてヴァイブがメロディーを取り、ピアノは一歩下がって雰囲気を盛り上げています。Stompin' at the Savoyは、モダンな3拍子にアレンジして今までにないイメージに仕立てています。Rachel's Dreamでは、早いスイングでアンサンブルが絶妙でものすごくスリリングです。でも、このアルバムの中で一番気に入ったのはタイトル曲にもなっているRunnin' Wildです。クラリネットがリードするメロディーにピアノがディキシー調のフレーズで絡みます。これがなんとも言えずにチャーミングな旋律で、しかもご機嫌のノリで最高に楽しい作品に仕上がっています。こんなにノリにのった演奏を聴かされると、山中さんは本当はこういう演奏が好きなのではないか、と思いたくなります。という具合に、曲によっては、中山さんによる新しい解釈のものと、原曲の雰囲気を忠実に掘り下げたものと程よく、センス良くミックスされています。また、曲によっては、ピアノ、ヴァイブ、クラリネットとギターが8小節、16小節ごとに掛け合いなどをしてエキサイティングです。本当に、山中さんのセンスと技術には脱帽です。予約販売で買って大正解でした!
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