最初は米国版「全国広域暴力団図鑑」だなと思っていたら途中から政治的視点からの内容に変化。政治的背景が絡むと情報公開が極端に少なくなるので真否はわからないが、著者の説明を読むと過去の大統領暗殺の話や爆破事件など、いかにもありそうだ、真実かもしれないと疑いがわいてくる。史上最強の経済力、政治力、軍事力を有するアメリカ社会の複雑さ、その維持に一筋縄ではいかない事情など彷彿とさせる内容。過激派との関係、FBIやシークレットサービスのレベルの高さと荒っぽさ、エシェロンにもさらりと言及するなど日本社会では考え難い犯罪行為すれすれの近代安全保障戦の内容など簡略に説明してくれています。その意味でオバマ大統領中心の話ではありません。そういえばエシェロンへの日本の参加(今は米、英、豪、加、NZ)を小泉元首相が打診したと聞いたことがありますが、結果はどうだったのでしょうか。日本は平和だということを感じさせる本です。次期大統領の共和党候補の話(有力候補にやはり父親がインド出身など、アメリカ社会も変わってきていますね)なども興味深い。さっと読んでみて損はない本。
この本は、日本では流通しているがご当地インドでは認められていない「アーリア人西北インド侵入説」について述べられたものである。(確かに、東西軸の
地中海人種の視点が全く無い)
○○学(特に、人文科学)は、西欧社会をモデルとして西欧人により構築されたものである。殊に、帝国主義(植民地主義)時代のものは正当化のための作為が隠されているので注意が必要となる。
当時、日本人はイギリスに留学していたためそのまま受容し、今や権威主義に陥っているきらいがある。(何を言っているのかよく解らないものがよくある。現代においては、アメリカ留学組に当てはまるだろう)
さて、「アーリアン」という概念について。
インド人は、西欧人が根拠とする「ヴェーダ」の解釈は人種主義、階級主義を反映した恣意的な誤りであり「アーリアン」という概念はない。アフリカ、アジア、
オーストラリア、アメリカ等至る所で原住民の土地を奪い征服したので、その経験を「過去」に投影している。との主張である。
「アーリア」というのは、神の掟に従い行いをする人々に対する「認証」の意であり、「スードラ」についても待機中、修業中の「アーリア」であると。(侵入と言っても、既に高度な定住生活が行われている地帯に侵入し、支配することは容易なことではなかろう。西欧人特有の単純化した直線的な進化史観のきらいがある)
今日では、英独系等の北方系西欧人によって「インド・ヨーロッパ語族」という、時代と共に壮大となってきた仮説があり故郷探しが喧しいがこれも言語学の枠内のことであって人種、文化とは別種の問題である。
一つ、注目すべき見解がある。
「アーリア」の世界は、年間降雨量400ミリ以下の乾燥の世界であり、「ヒンズー」の世界(仏陀の世界も)は
ガンジス平原の1000ミリ前後の世界である。
少々、切れ味に欠けるが捉え所、視点が秀逸。