『海の牙』と共に水上勉の社会派推理作家としての代表作であると共に、彼が推理作家から脱皮しつつあった頃の作品です。昭和29年に青函連絡船洞爺丸が沈没するという事件が起きました。そして同日に北海道の岩内町で町の三分の二近くが焼ける大火事がありました。ところが洞爺丸のニュースがあまりにも大きかった為に岩内町の火事は殆ど報道されなかったそうです。水上勉はこの出来事を借りて、洞爺丸を層雲丸、岩内町を岩幌町と改名して、実際には失火だった火事を放火に置き換え、放火犯が逃走途中で仲間割れを起こして殺し合い、死体を層雲丸の沈没でごった返す津軽海峡に投げ捨てて、沈没の被害者のように装うという犯罪を考え出しました。更に、舞台を戦後の混乱期である昭和22年に遡らせたことがミソとなっています。
同様に洞爺丸沈没を素材にした推理小説に中井英夫の『虚無への供物』がありますが、両者の作風があまりにかけ離れているので、洞爺丸沈没に興味を持って両書を手にした人は戸惑うことでしょう。ある出来事に人間がどのように想像力をかき立てられるかは正に千差万別なのですね。ところで、私の読み落としかも知れませんが、本書にはひとつ活かされずに終わる伏線があるような気がします。時子のところを尋ねてきた謎の人物は結局誰だったのでしょう?
日本でなければ作れない。また日本でも現在ではもう作れない日本映画の最高傑作の一つ。女主人公佐久間よし子の美しさはかなさは日本男児のみがわかる特権である。女の魅力は弱さとはMarxmが言ったが、これには議論あるもこの映画の弱さはかなさの強烈な印象は、本当に弱さなのか?
日本人必見の映画。
全話リアル見しました。
山下智久が出ていなければ、正直スルーしていたであろう内容。
脚本や演出もいろんな事を詰め込み過ぎて、各話統一感が無くバラバラな感じ。2時間SPで様子をみてから連続ドラマでも良かったのかな‥と。
TBSも昼番組などでドラマの番宣(日テレみたいに)やればもう少し盛り上がっただろうに‥。出演者のせいにされてかわいそうな気がした。
それでも、山下演じる真人と
山崎努さん演じる岩田の世代を越えた友情‥2人の絶妙なやり取りにニヤリとした。又、良い台詞がたくさんあったドラマであった。
そして、
山下智久の涙のシーンはもはや絶品、名人芸といってもよいだろう!。
主題歌「愛、
テキサス」もドラマの雰囲気に合っていてとても良い。
同じクールのドラマの中でも、脚本のレベルが一際高いドラマでした。
覚えにくい
タイトル、難しいテーマ。
華やかなキャストを揃えてはいますが、決してテレビ向きではない物語を、ていねいに描ききっていると思います。
どこか影のある主人公を演じる山下くんもピッタリですね。
TBSらしい良質のドラマに納得です。
水上勉「土を喰う日々」を読了。作者の軽井沢での土を耕しながらの12ヶ月の食生活を記録した書です。自然の恵みを余すところ無く、味わいつくす、正に「土を喰う」生活。子供の頃の禅寺での生活で得た、精進料理をベースにして軽井沢の四季を味わう。決して贅沢な料理ではないが、精神的にはかなり贅沢な食事だ。このことは現代では難しいかもしれない。しかしながら日本人は作者のような生活を大昔からすごしてきた。いわば当たり前の生活なのである。そんな当たり前が、贅沢に見える現代に生きる我々に大きな示唆を与えてくれる。それは正に「土を喰らう」という言葉に集約されている。土を喰らっていない私達はどうすればよいのであろう。考えなくてはならないことが沢山本書には詰まっている。