『川に橋掛けたのも、車を走らせたのも、宇宙にロケット飛ばしたのも、政治家や学者様がやったんじゃない。俺たち技術者が成したんだ!』
かなりうろ覚えですが、在る作品で上のような台詞を読んだ事があります。
学者は行って何をどうやってやるのかを考えます。政治家はそれをやるべきややらざるべきかを判断します。技術者は科学者が思いついたものを現実に変えます。宇宙開発分野は最先端技術の塊です。それらを一つ一つ形にしたのは技術者たちです。
本書で取り扱うのは、最近発行される宇宙ものの書籍では経過そのものや研究者目線が主で比較的スポットの当たらない、その技術者=開発メーカーの部分です。
本書では、メーカー技術者が、宇宙ステーション補給機「HTV」、打上ロケット「H-2B」、月探査機「かぐや」の開発・運用において何をしてきたかの特集を軸に、自社が持つ独自技術で開発製造に貢献する中小企業への取材、世界市場に挑戦し続ける三菱電機とNECについて記載されています。
厳しい環境と条件、困難な運用と国際競争の中で、「技術国日本」のメーカー技師たちがどんな挑戦と苦労をし夢を抱いているか、98ページのムックに多くの写真や図版も相まって読みやすくわかりやすく纏まっています。
開発現場の視点をつづった内容は『プロジェクトX』のようなかんじで、新たな発見やさらなる興味を呼び起こしてくれます。
そういった点でもすでに宇宙開発に興味と知識を持ってる方から昨今の『はやぶさ』ブームから新しく宇宙開発に興味をもたれた方まで楽しめる内容になっていると思います。
私としては今まで苦しい戦いを強いられてきた国際商戦の今後の展開についてかなり力を入れて書かれているのに好感を持ちました。うん、日本はまだまだやれる!
巻末には宇宙開発に関わる企業の一覧が、主契約者として開発に携わる大企業からネジの1本を作る町工場まで258社すべて網羅されています。
1機のロケットや宇宙機を作るのにこれだけの人の手を経る事に驚きと感動を覚えるとともに、本書編集に携わった人の日本の技術者への想いを垣間見たような気がします。
前作「航空自衛隊の力」は航空自衛隊がどのような組織でどのそうな装備 を持っているのかを概観する作品でした。
今作では特に戦闘機に的を絞り、現用の機体と歴代の機体、そして次期主力戦闘機 のF35について解説しています。
ですので、前作と比べるとややマニア向けであるように思います。 とはいえ、内容はわかりやすくまとまっているので、戦闘機ファンはもちろん、 前作を見て初めて戦闘機に興味を持った方でも十分に楽しめると思います。
この本を読んで、いくつかの点で、思いを巡らしました。SAS(スカンナビア航空)のような企業の目標が明確で、働く職員一人一人に、責任と権限で運営される組織になりたい。 ・そのために手順で、本文中の「誰のために企業の目的」(このSASはビジネスマン)をハッキリさせて、そのために、働く職員に責任と権限を委託し、そのサポートを、トップが担い、その間の中間管理職が、コーディネートしていく組織の姿が浮かび上がります。 ・作者自体も、本文中で、記述していますが、1トップが明確な企業目的=誰を対象に企業活動=サービスをするのか?2職員に対して、その企業目的をわかりやすい内容で伝えきり、個人の責任と権限の範囲で考え行動できる仕事ぶりをサポートしきる3中間管理職に対して、企業目的の実現のためのトップと従業員のコーディネート役に存在することが生きがいと自覚できる この3点が、特に印象に残りました。 ・読み進めるたびに、この3点の中で、「中間管理職」に対する記述が、本文、あちらこちらにあり、私自身の記憶に鮮明に残りました。 ◆「 人的資源に関する私の見解に同調する経営幹部は、従業員全員に企業運営の指針となる経営ビジョンを理解させる必要があること了解するだろう。従業員はビジョンを理解してはじめて、全力を傾けて実力を発揮するようになり、全員が総合目標達成のために自分の責務を遂行することが可能になる。そして、意欲的な従業員の強大な活力が解き放される 」(本文 p187) ・本文、最終の部分で、「SASが、当初の企業目的を達成した時点」で、働く職員が目的を失い職場の雰囲気が荒れた。その先に、アメリカ航空業界の自由化を先にとらえ、新たなSASの企業目的(戦略)に設定した先見性はすごいと感じた。
高校で教員をしています。 パイロットを目指す生徒のために問題集をさがしていたのですが、一般の科目の過去問題はあっても、 「航空適正検査」とよばれる試験のヒントになる本がなかなか見つかりませんでした。 そしてこの本の中にヒントとなるページをやっとみつけました! 受験前の不安な生徒達に、安心感を与えてくれた本です。 そしてもうすぐ合格発表です!!
|