「恋」とは違って、「欲望」という直接的な書名、想像を掻き立てる強烈な表紙の絵です。
文庫の解説の 「どんな騒がしいところで読んでも、文章がすうっと入ってくる作家がいる。・・・」という紹介文がぴったり当てはまります。
解説者がいうとおり、ストーリーの展開が早いわけでも、キャラクターが強烈でもないのに、冒頭から引き込まれます。 青田類子の視点で、阿佐緒、正巳と3人の同級生の関係が語られます。 そして、三島由紀夫をモチーフとする阿佐緒の夫、袴田亮介がもう一つの中心です。
時間の入り組みがかなりありますが、戸惑うことなく自然に読み進められました。 随所に布石が打たれ、最後の方になって、「あれっ、今はいつなんだっけ」と我に返り、よく考えられた時間構成に感心しました。
読み応えのある本でした。 (176)
レンタルサイトで面白そうと思って、まず本を読んでから、DVD観ました。
本は再読だったのですが、読み返そうという気持ちにさせてくれたので、まずは
面白そうな映画だと思わせてくれたことに敬意をささげようと・・・思います。
肝心の内容はというと、原作にある静謐で世俗から離れた雰囲気が足りない感が
ありあり。端的にいえば貧相です。いや、70年代なのだから、こっちが勝手に
想像しただけで、精神科医の屋敷のガーデンパーティーなんて、実際はあっちが
本当かもしれない。だからロケーションでなくて。
キャストにケチをつけよう。
正巳役の俳優、名前を見た時、あの人だよね・・・精神も肉体も美しい青年とは
言い難いような、だけどちょっと異国風の容貌なので、思っているよりも案外良かっ
たりすることに期待できるかと思ったのだけど、足りないでしょう。貧相でしょう。
いちばん違和感を感じたココが、やっぱり問題だったと思います。
ここで別の人の名前を挙げても、映画を観たあるいは原作を読んだ方が同じように
思うか分からないので難しいですが、職業が庭師ならもっとたくましい体つきでいい
と思うし(高校生までの彼は健やかに過ごしていたし)、他の方もおっしゃる尻の
タトゥーはメイクで消すべきだと思いました。だって正巳には無い!
阿佐緒役は、メインキャストの中で唯一テレビでよく見かける人なので、
70年代が舞台の映画でなく、テレビドラマのように感じてしまうのですが、それ
を差し引けば、原作ではもっと楚々とした美女・美少女を想像していたけれども、
小池真理子さんはこんな感じをイメージされていたのかも、とも思えました。
類子は、原作では、スタイルは良いが容貌はあまり華やかではない女性を想像
していたので、板谷由夏さんの美貌に違和感はありましたが、映画を観ていくうち
板谷由夏すげー、と思いました。激しい性描写と広告にあるので、ある程度は・・
と思っていたのですが、文章で読むとやっぱり文学だよ。映像で見るとやっぱり
性交だよ。セックスってこうすんのかー!と熱情を感じる、板谷さんの脱ぎっぷり、
交わりっぷり。ここ久しく日本の情念のドラマってないけど(五社英雄監督!)、
そういうのを演じられる若く美しい女優さんだと思いました。最近おらんやん、
そういう女優さん。すげー。
キャストの他に、ここを落とすとはなんたることっ、と思ったのが、終盤の
正巳が沖に泳いでいくシーンです。原作もここに魅かれた人が多いと思うのだけど。
最初は沖にゆきすぎて泳いでいるだけ、と思った類子が、危ないからあまり遠くへ
いかないでと呼びかけ、次に目を遣ると、さらに沖へ沖へと泳いでゆく正巳。
青い海と小さくなる正巳の姿に映る美しさと絶望感。これをこそが見たかったのに、
わたしが絶望感を感じました。ここを時間の尺をとって、美しく撮ればいいのに。
もったいない。
と内容では、原作の補完をしたい(映像美が見たい)と思っていた欲望が満たされ
ずに欲求不満なのですが、原作が良ければ審美眼のレベルも高くなるので、二次
創作は最初から高いものを求められるので分が悪いということにしておきましょう。
そして、いい女優、板谷由夏さんを見つけたことを良しとしましょう。
美男美女のアイドルのドラマって感じで、ストーリーも題名通り爽やかでどろどろ感はないです。ゆったりとした気持ち、ぼーと観ていたい時、心がちょっと疲れた時はお勧めかも。 特典映像は、短いながらも俳優陣の素顔が観られファンには嬉しいです。
小池氏の小説はあまり読んだことないですが
最後まですらすらと 面白く読めました。
年老いた女画家の心境や描写が 上手いなと思いました。
老人になったら 全ての人が安穏と暮らしているわけではない
情熱や信念で生きている人もいるのだと…。
そういうところが面白かったです。
無花果の意味するところは もしかしたら
「花を咲かせなくても実りある人生がある」
というこを示唆しているのかな、と思いました。
全体的にはテレビドラマになりそうなお話でした。
いや〜 怖かった・・・
物語にグングン読者を引っ張っていく作者の技量に脱帽!
オチが気に入らないと思われる方がいるかもしれませんが後味が悪く少しその先に
待つ出来事を考えさせられるようなオチは個人的に大好きです。
1.マンション入居者最後の一家あの世逝き
それにより・・・↓
2.最後の入居者案内を見る限りマンションに入れないという不可解な現象は消えた
・・・↓
3.墓地前という環境さえ除けば立地条件も良くさらに安くなったこともあり冒頭の
主人公一家のような心情で何も知らないでいる新たな入居者達がこのマンションに
集まり始める。無論新たな管理人も以前に恐ろしい惨劇があったことを知る余地も無い。
4.入居者は物語の内容のような事を目の当たりにし引っ越して行く・・・
・・・だが最後の一家は・・・
とまあこんな感じでこの物語はエンドレスで続いていくのではないだろうか・・・
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