ブックデザインが気に入ったこともあり、Amazonのおすすめを鵜呑みにする形で購入してしまいました。
タイトルの「紙の民」は作中の肉でなく紙でできた人間と、作者と登場人物が対立するという構造の両方を差しているのでしょう。
構造はメタフィクションですが、発想や構造にさほど新規性はなく、思弁的でもないので、よく言われるメタフィクションのイメージで読まないほうがいいと思います。
作品紹介に「奇想天外」とあり、柴田元幸さんの帯の文句にも「奇妙奇天烈」とありますが、これらもちょっと言い過ぎかと。
むしろ際立つのは繊細な描写です。視点を変えた短いパラグラフの積み重ねで物語が形作られていくのですが、どのひとつをとっても独立したショートストーリーとして発表できるのではないかと思うくらい完成度が高いです。それぞれの話者の心理も共感しやすく、抑制がありながらもセンチメンタルな、細いけれど非常に長い余韻を残します。
レイアウトの工夫も相まって、よくできたコラージュのようにも思え、なるほど「紙の民」なんだなあ、と納得して読了しました。
Sal Salvadorは、Frivolous Salでスムースでよくスイングするギターをたのしませてくれたが、これもたのしいアルバム。
タバコをやめるための音楽 で、なかにタバコのやめ方の小冊子がはいってるとかかれているのもばかばかしいが、
ジャッケトのうらがわには 夫の前での下着の脱ぐための音楽 の広告がプリントされている。
内容はいたって普通。
報道カメラマンのボイルは金と女にだらしないアメリカ人。スクープを狙って内戦が始まりつつあるエルサルバドルへと渡る。そこで目にしたのは、容共だとして教会関係者まで暗殺する政府軍、独裁政権でも親米である限りは軍事援助をするアメリカの外交戦略、そして民衆解放の名のもとに政府軍兵士を容赦なく惨殺するゲリラの実態だった…。
オリバー・ストーンが限られた資金をもとに、ボイル自身の手記を映画化した86年の作品です。どちらかというとバイプレーヤー的存在であったジェイムズ・ウッズがこの作品では主役を張り、ちょっと生かれたジャーナリストを見事に演じています。オスカー候補になったのも頷けます。
当時、エルサルバドルでの内戦はまだ激しさの一途を辿っているさなかでしたし、レーガン大統領もまだ政権の座にありました。そんなときに、アメリカが支援していた政府軍側がロメロ大司教を暗殺したり、アメリカ人修道僧をレイプして殺害したりしていたという事実を実に生々しく描いています。自国の中米政策の闇の部分をこれほど律儀に描いてみせるアメリカ映画界の奥の深さと勇気に驚かされます。
映画の中でアメリカ政府高官は「共産主義を止めなければ、やがてポルポトのカンボジアのようになってしまう」と主張します。当時はこの台詞に頷く観客も多かったことでしょう。いくら自国女性が惨殺される映像を見せられても、大義の前のやむをえない犠牲として片付けてしまったアメリカ人がかなりいたでしょう。今見ても、アメリカが干渉しなくてもエルサルバドルのポルポト化はなかったと言い切れるかどうかははなはだ心許ない気がしなくもありません。
冷戦構造が崩れてはや16年。中米の政治地図も80年代とは大きく様変わりしました。今あらためてアメリカの中米政策から何を学ぶべきなのか、という思いとともにこの「サルバドル」を見ました。
「なんと楽しいアルバムだろう!」というのが第一印象です。サンバ、ボサノバ、ポピュラーミュージック、サルサ等々と列挙できないほど豊かなブラジルの音楽がヨーヨーの音楽とクロスしてさらに奥行きの深いものとなっているのでしょう。「ピアソラ」で、ヨ-ヨーとラテンミュージックの融合に心を揺すぶられましたが、「オブリガード」にはまた違った感動と味わいがあります。ヨーヨーが次々と拡げていく音楽のフロンティアから目と耳が放せません。
ダリさんの話されるコトって、ハッタリ半分妄想半分で、どこまで信用していいのかわからない文章がいろいろとあるのですが、この本は、"こんなに理解できちゃっていいのかしら?"と心配になるほどの、とってもわかりやすい文章です
支持棒の使い方とか使っていい色悪い色、アトリエに入れていいもの悪いもの、食事のコトなど、やたらに話題が具体的で明晰で、いやそれこそほんとはダリ的偏執狂的世界と言えなくもないお話しが、あれよあれよと展開していきます
もちろん、暴走する所もあって、クモを採って来て糸を出させて...と、勢いでつい実践してしまいそうになるんですが、もしかすると本人ほんとうにやっていたのかなぁとも思ってしまいます
この本を読むと、何だかまるでいい人みたいです。後進の人たちのために、創作の秘密を惜しげもなく披露してくださるんだもん
ちょっとダリさんのイメージ変わっちゃいます
いや、それは二重映像のもう一つのビジョンで、2m離れて見ると実は凶暴なトラの顔なのかもしれませんが
この本の楽しい読み方の一つは、絶対に、50項目のそれぞれに、これはやりたい/やりたくないと○/×をつけて、ダリ度を調べてみるコトですね
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