全体の雰囲気は静寂で、時々ラジオの電波と電波障害が演奏を不穏によぎるのですが、内省的で、軽快な部分もありますが、デプレッシヴ(憂鬱な=景気停滞の)です。トラック6に表れているように、テロ後のアメリカの圧倒的な絶望とかすかな希望を反映しているのでしょう。 複数のギターが絡み合うロックが多いのですが、一転してギターを控えめにしたピアノ・バラードも含まれています。ウィルコはオルタナ・カントリーの旗手として有名ですが、もうオルタナ・カントリーという次元の音楽ではないですね。 テロ後のアメリカの雰囲気を反映したロック、ブルース・スプリングスティーン『ライジング』がしっとりとしたなかにもよくもわるくも強い“ジ・アメリカン・ロック”を体現しているのに対して、このアルバムの場合、テロの問題を超えて、レディオヘッドの『OKコンピューター』と同時代性を共有するロックの哲学的な陰影があります。 ディスク2は、新曲、未発表曲集。トータル・コンセプト・アルバムであるディスク1の統一感や起伏には及ぶべくもありませんが、単なる曲の寄せ集めではありません。ディスク1と同じギター・ロックの雰囲気が醸し出された珠玉のトラック集と言ってよいでしょう。オープニングの爽快感、ラストのクール・ダウン。ぼくの場合、わざわざこのオーストラリア限定盤を購入したことに後悔はありません。 あと、CD本体の問題として、パソコンではふつうに再生できましたが、十年以上前の古いラジカセではけっこう再生が難しく、とくにディスク2は再生不可だったことを申し添えておきます。また、正規盤と同じく、ディスク1はエンハンスドCDです。
アナログは一部曲順の変更&アナログのみのボーナストラック「SOMETIMES IT HAPPENS」が追加されて全13曲。
収録曲の内「ONE SUNDAY MORNING」は、CDより少し長い(約14分)ロング・バージョンで収録です。
付属のCDは輸入盤CD1枚のエディションと同様の曲順で、アルバム本編のみの全12曲入り。
どのエディションを買うか悩ましいですが、アナログファンは迷わず買い!の仕様だと思います。
ライアンアダムスの「New York,New York」のビデオでも思ったし、 このDVDのライナーノーツや監督のインタビューにもあるように、 「よくもまぁ、偶然にこんなとこ撮れた...」と思うシーンの連続です。 でも、見終わって思うのは、やっぱりその音楽の素晴らしさ。 傑作「YHF」が生まれるまでの音の変移が感じられます。 はっきり言って、ボーナスマテリアルの「スタジオ/ライブ映像」だけでも、買う価値あり!です。 まさに過去から継承されてきたアメリカンミュージックを、現在の音で最も美しく体現できるバンドだと再認識させられます。 本編を見た後、ボーナスマテリアルの最後の「How to Fight Loneliness」はグッときてしまいました。 バンド/音楽業界のドキュメンタリーとしてウィルコファン以外も必見です。
第一弾のワシントン編に続きシカゴ編が登場!! SHELLAC,WILCO,TORTOISEなど全9バンドが、取り壊し寸前の一軒家で演奏する様子が1バンド1曲ずつ収められています。 これだけ見れてたったこの値段!!お得感たっぷりですが、内容も素晴らしいです。 個人的にベスト1はWILCOでした。いや~本当にかっこいい!!演奏ももちろんなんですが、バンドとしての佇まいが素敵でした。 そしてTORTOISE!!凄まじいですね。。。TORTOISEが家の中で演奏してるって言う絵がまず新鮮でした。6人編成で機材の量も多いからちょっと狭そうでした。(笑) あと、FREAKWATERという女性二人(ギターボーカルとボーカル)、男性一人(チェロ)のアコースティック・トリオが良いですね。二人の歌声がとにかくすごいんです!! 他にもストレートなギター・ロック系のバンドもいたり、バンドの取り合わせのバランスがすごく良いです。 音質も最高です!!(5.1チャンネルにも対応)
Wilcoによる7作目のアルバム「Wilco(The Album)」はどこか懐かしさのあるサウンドである。作品紹介のクレジットにもあるが、かなり60〜70年代の音楽を意識して制作されたらしく、耳障りがとても良いサウンドに仕上がっている。 ジェフ・トゥイーディーのヴォーカルは、とても印象的で切なくもあり優しくもある。 時おり聴けるコーラスは、レディオ・ヘッドかと思わせるような透明感があり聴くものを魅了せずにはいられない感じだ。ジェフの歌声からもそうなのだが、サウンドがビートルズ特にジョージ・ハリソンの音楽にとても近い感じがした。Wilcoは駆け足で急ぎ過ぎた私たちに、音楽を通じて原点回帰を訴えているようにも思えた。「そんなに急がずもう少し進める歩を緩めたら」と。アルバム・ジャケットに写るラクダを見て、Wilcoを聴き終え少し理解できたような気が勝手ながらにした。
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