原作にストーリー性が加味されていますが、話の軸はブレてません。
この部分を蛇足と捉えるかどうかで、かなり印象が変わると思います。
個人的には良かったです。
もちろん原作を知らなくても楽しめると思います。(好みの問題ですが)
この人は格好をつけない。演じない。うそをつかない。夢を見ない。
そして、愛想笑いができない。
いや、会ったことないんですけどね。
多くの人間にとって、人生の真っ当な順序とは、生に始まり死に終わる、である。
しかし梶井さんは、死の中で、生を謳歌している。生を苦渋している。
そんな人間は、他人にどう見られるかなんて、かまっちゃいない。
自分という生に手一杯で、必死なんだ。
だから「檸檬」をはじめとする作品群の中で、
自身の核を、ためらい無く晒せるのだと思う。
それは、生命そのものを描くという行為で、
美しい響きとなって読者の心を震わせ続ける。
「檸檬」は高校の教科書で読んだのを覚えていた。そのほか割と数多い短編を読んで見ると、それは繊細な詩のように感じられた。梶井は凶暴を秘めている。ボードレールに似ているような印象は受けるが、やはりそこは翻訳文学とは違って、美しい本物の日本語。やや、病的な主人公が多かったりしますが、読む価値は充分にあると思います。繰り返し読むのをお勧めします。リズムもいいので。
梶井基次郎といったら言わずと知れた有名な作家。「檸檬」はその代表作。「檸檬」と書くより「レモン」と表現したいほど新しい感覚だと改めて思った。「檸檬」をレモンと読むことを知らない若い人に読んで欲しい。
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