ノベルゲームは概して読み進めるとフッとした瞬間に睡魔が襲ってくる事があるが
本作品では何度か本当に寝落ちしてしまいコントローラー片手に小一時間寝てしまう
ことがあった。
端的に言わして頂ければ、チョッとお題が地味で退屈。前半お料理や絵画の事で日常経過を
表現するテキストがあり、その範囲を大きく割いているので興味がない人には中盤まで中折れ必至。
元々、PCアダルトゲームでの発売を元に家庭用コンシューマーゲームとして
5pbが移植した、という経緯であるので「エロ描写を削ぎ落として家庭向けに
発売したら、社会派純愛ゲームになってました」と、いうのが正確な捉え方かと。
それでも、5pb発売である事を考慮すると、開発元は違うと云えども
カオスヘッドノア、シュタインズゲート等の初めから終わりまで、
突っ走るような怒涛の劇場型展開と比べると(この2作品は手放しで☆5と評価できたが)
本作はやや格が下がると言わざるを得ない。いいとこ☆4くらいでしょうか。
でも、終盤では期待を裏切らないドラマチックな展開が待っており、最終的には
満足できる出来ばえです。ストーリーがチョッと長いので2〜3日で一気に読み進めると
(人によっては)飽きてくるかもしれないので、チビチビ読むのが良いかと思います。
それにしても、ケンちゃん(主人公)は姉に幻想を抱きすぎである。派生した感情から
一線を越えてしまう事の方がよっぽど救えぬ贖罪に当たるだろう、と悶々として
ゲームを進めるのだが、最終的に登場してくる外伝章であっさり納得させられる
事実に出会える。伏線等も用意され中々読み応えがあり、また所々にエロ描写の名残的な
展開もあるが全体的にその進行と訴告する主眼は、一律して暗く重苦しい。
じっくり1つの物語を通して、国や人の心の有り方を考えたい方にオススメです。
母である王妃と何やら因縁ありげでサキュバスと云われていた女性によって生まれたばかりの王女は17迄に処女を失わないと死んでしまう、その後は毎日男に抱かれないと死んでしまう・・・と云う呪いをかけられる。そして17歳を目前にして、朝食を二人前は食べる程元気の有り余る王女は、呪いが本当なのかどうか、何故、自分は呪われたのかを知る為の旅に出る・・・ 男性が書くと、こういう時、主役は男女の別なく欲情してしまう悩み・・・となるのだが、女性が書くと望まぬセックスをしなくてはならない悩み・・・と云う訳で、結局、性と云うものに対して男性は能動的、女性は受動的と云う事か。
富士見ミステリーから角川にフォーマットを移したシリーズ三作目。
実際馬車が疾走するシーンもありますが、読了後の感想は「凄まじい速さの馬車の荷台に乗って、一時間後目的に降りた際の心地よい疲労感」。 登場人物も少なく、当然シリーズものなので改めた紹介も無く、頭のおどろおどろしいプロローグからラストまで全力疾走。また主人公とヒロイン(風邪)の何気ない、しかも物語の核心に入る前にも関わらずどうでもいい(失礼)会話が余計にライヴ感を誘う。 ゴシックシリーズは推理部分も勿論だが、この会話の組み立て方も魅力だろう。登場人物が会話では無く「お喋り」をし、語り部は地の文をを朗読では無く「まるで子供に絵本を読み聞かせる」ように語る。 だからこそ、ともすると酷く重く沈みがちな今回のオチですら、まるで演劇のラストのように、軽快に踊り終えるのだろう。
まだ遅くない。今からでも馬車に乗り込んではいかがだろう? 快適で愉快な旅と、心地よい疲労感が待っている。
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