テレビで「三回目の二十歳」を観て、迷わず購入した。初恋の人に久しぶりに再会したら、素敵に年を重ねていて、惚れ直したという感じ。解説がとても良い。アノ頃には分からなかった歌詞の意味や、彼達(きたやまおさむなど)の思い入れなどが理解出来る。杉田二郎は歌がうまい、と今更ながら感心してしまった。フォーク歌手に分類されるのだろうが、なかにし礼の「再会」(彼は吉田正の再会も歌っている)や「おまえに」などのバラード(?)っぽいのも泣けるほど良い。いい声だ。40年間の声の変化を聴き比べるのも楽しい。「戦争を知らない子供達」は、それぞれの人生を生き「前向きに倒れてみたい」(1曲目)で元気を貰った。とにかく60歳の杉田二郎は、めちゃくちゃ格好良い!!
1970年のフォークジャンボリーの記録映画は当時から音楽映画というだけでなく、あの時代の象徴としても評価されたもの。フォークからニューミュージック、Jポップと、ポピュラー度が高くなり、歌としてよりは音楽として迎えられる時代になっていくにつれて話題にされることもなくなり、たまにBSやスカパーの特集で放送される程度の取り扱いだった。しかし、今こうしてDVD化されたことは驚きであり、ポニーキャニオンの姿勢に拍手を送りたい。この時代に青春を過ごした者としては、この時代のライブ音源等が関係者のところに沢山眠っているという話に、いつか会えるのではないかと期待している。
フォークジャンボリーは都合3回開催されたが、これはその中間の年。翌年にはメインステージが占拠され演奏ができなくなるという出来事があった一方で、よしだたくろうがサブステージで「人間なんて」を永遠と歌い続けたことは有名だ。そのライブの迫力はCDで復刻されているので耳にすることができる。もちろんこの70年(第2回)もCD化されているし、数社から発売されたものを集めると相当の曲に出会えるので、それも楽しめる。
しかし、このDVDで楽しめるのは、ほかの人も書いているように、岡林信康の歌であり、少しだけ映っているはっぴいえんどの姿だ。つまらなそうに演奏している姿がとても楽しい。数年前に小田和正の「クリスマスの約束」で久しぶりにTV登場した斉藤哲夫の若き哲学者と呼ばれた当時の映像もいい。遠藤賢司もいいし、風船もいい。亡くなった高田渡の若々しい姿、そのバッキングを務める岩井宏も亡くなった。「夜があけたら」の浅川マキも亡くなってしまった。この時「教訓1」でスターになった加川良は残念ながら音源だけ。でも、どれもこれも、あの時代を思い出させてくれるに十分だ。
すべてが懐かしく、うれしいのだが、私がきわめて個人的にうれしいのは、オープニングの映像でフィルム傷がそのまま出ていることと、時々音飛びしていること。さらには、小室等と六文銭の映像だ。そののちにベルウッドから六文銭のアルバムが出されているが、この日のステージの六文銭は別。たしか、記憶に間違いがなければ、ここの女性は小室のり子さん、そう小室さんのファーストアルバム「私は月には行かないだろう」のジャケットに写っている、小室さんの奥さんのはず。小室のり子さんの歌声はこのステージのものしか残っていないのではないかな。六文銭のメンバーがしょっちゅう変わっていた頃であり、まさにフォークの時代だ。
このジャンボリーは、当時のフォークシーンそのものであり、時代を映している。翌年の第3回頃から、フォークは重いものを背負わされ、自ら変貌していくこととなる。このころの流れは今も確実に続いているのだが、ふれあう機会はめっきり少ないままだ。
このDVDが、この時代を知らない若い人たちにどのように映るのかはわからないが、この時代にギターを弾いたことのあるひとには、青春を思い起こさせるに違いない。
1975年制作の日活ロマンポルノですが、当時二十代前半の無名新人だった岡本麗の初主演映画として貴重。
ちょうどその頃に世間を騒がせていたという山梨県甲府市の女子高生集団売春事件に題材を得た作品だそうで、事件を取材するルポライターのヒロインを演じているのが岡本麗です。
岡本は俳優小劇場附属養成所出身で舞台の経験も多少あったので、演技には新人離れした安定感がある。
成人映画につきものの濡れ場もなかなか大胆。まじめに取り組んでいて好感がもてる。
後年、映画やテレビドラマの名バイプレイヤーとして開花するだけの原石を感じさせた、という気がします。
演出の曽根中生は神代辰巳や小沼勝らとならんで日活ロマンポルノを代表する有名監督ですし、共同脚本にはのちの相米慎二監督が杉田二郎のペンネームで参加しているから、ついつい期待してしまいましたが、作品としては不発に終わったようです。あくまでも私見ですが。
ドキュメンタリーの手法を取り入れるなど、くふうの跡も見られますが、総じて辛気臭くて退屈。
あの時代のアングラ系の日本映画にありがちなムードというか、ある種の挫折感を漂わせています。
自分がまだ中坊だった頃、NHK-FM「ひるの歌謡曲」で魅せられたシンガーのひとりが杉田二郎氏であり、放送された曲はちょうどこのアルバムとシングル「八ヶ岳」だった。 それだけに、このアルバムなくては彼との出会いはなかっただろう。
これが発表された1978年当時は、フィリピンのシンガー&ソングライター:フレディ・アギラのもと歌「ANAK(息子)」が加藤登紀子さんと競作リリースされ、どちらも高い注目を集めていた。 なお、このベストアルバムは彼の転機となった『題名のない愛の唄』以降のものから選曲構成されている。(彼のソロデビューは1972年だったが1974年の『夢歌』まではジローズの延長線でアイドル色が強く、個人的には好きでなかった)
以下、軽く解説します。
1.(青春は)まるで映画のように: 同日同時発売された当時の最新シングル曲。 スリリングなアレンジで青春のもろさ儚さを綴る、胸に迫る一曲。
2.ANAK(息子): 前述どおり。 悪の道に入った息子を案じて悲嘆する父親の姿が浮かぶ。
3.男どうし: 1975年『題名のない愛の唄(紙ジャケット仕様)』収録。彼を語るうえで不可欠なフォークロック・チューン。
4.海においで: 1976年『前夜』収録(残念ながら未CD化)。 ガットギターをフューチャーしており、温かく大らかな歌声に魅せられる。
5.題名のない愛の唄: 同名アルバムタイトル曲。 雄大で大胆な表現は今なお新鮮だ。
6.マイ・ハート: 『前夜』収録。もとはジローズのラストアルバム『最後の歌』で発表されたものの再録音バージョン。
'60年代アメリカンポップス風です。
7.君住む街: 『前夜』収録。 吉田拓郎作詞作曲によるロッカバラード。 コーラスにハイファイセットが参加。
8.積木: 『題名のない愛の唄(紙ジャケット仕様)』に収録されていたものを新録音したシングルバージョン。1976年リリース。
9.オチコボレ: シングル「(青春は)まるで映画のように」のカップリング曲。 落ちこぼれでも生きる価値は十二分にある。
自分自身生き方に迷った時救われました。
10.雨の中の太陽: シングル版「積木」のカップリング。 雨雲に埋もれるな、叫べ、手を伸ばせ。
11.ブルーの毛布とビキニのご婦人: 『題名のない愛の唄(紙ジャケット仕様)』収録。
12.僕たちの箱舟: 『前夜』収録。 雄大で前向きさが胸を打つラブソング。
個人的には、これにシングル版「八ヶ岳」(1978)を入れればパーフェクトです。
アナログ時代の編集盤なので現在ならEXPRESS在籍時(〜1984)まで発想を拡げて、2枚組ベスト盤のリリースを実現したら嬉しいです。
これだけ味のある歌集はめずらしいのではないでしょうか。 歌というのはオリジナルが一番いいに決まっていると思っていたのですが、 個人的にはオリジナルを超えるアレンジや歌声のものばかりです。 原曲では表現されていない音作りもすばらしいし、何より歌手の皆さんの 曲に対する愛情や熱意が伝わってきます。 全体的なアレンジとしては、アコースティックギターの音色が好きな方には、持ってこいだと思います。 一番意表を突かれたのは、渡辺真智子さんの「もしもピアノが弾けたなら」でした。
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