主人公は信長の次男北畠信雄です。実の父親は信長ですが、血のつながり以外に彼らを繋ぐものはなく、血ですら戦国の世では薄れているもの。北畠に養父を持ちながら実父に召喚され、一般人の目からは狂気としか思えぬ思想をもっていた信長に、知識人である信雄はついてゆけないと思い、だが反面認めてもらいたいと思う心もありました。そして第三の父と仰ぐのは、織田家の運命を変える男だった、という。信長の息子たちが出てくる小説は珍しいので、子の視点から信長を見てみておもしろかったです。折檻をうける光秀が痛々しいです。詩経や唐詩の引用もあって好好。
真面目な本だと思います。著者の姿勢に好感が持てました。 書名が作家になるためのHOW TO本のようなので、間違われやすいのが著者にはお気の毒です。これは徹底した職業作家の現実の実務の書です。文学論や芸術論を展開しようなどという意図は最初から著者にはなかったと思います。作家といえども生活しなければ生きていけませんし、生きていけなければ創作どころではありません。生活も創作も作家の表裏であり、どちらか一方しか書かれていないものには(私は)大人げなさと喰い足りなさを感じていました。また、この手の書籍の多くは、創作や個人的な文学雑文類が多く、いささか食傷気味でもありました。その意味では、逆面からの、たいへん小気味のいい一冊です。現代職業作家の一面を見て、そこから現代の文学状況を考えることができるのではとさえ思ってしまいました。一読の価値ありと思います。
えっ そうだったの? それはないでしょ うーんあったかもしれない で最後にまさかまさかの場面展開 面白い でも金ヶ崎の退却戦を事前に何かで読んでいれば一層面白い 戦国時代小説の範疇にはないですね
<血の繋がった和睦の道具>
信長にとって欠けている能力とは、
<一万騎規模の大軍指揮能力と、人の愛を受け入れる能力>
子供の価値は、
<役に立つか、立たないかで決まる>
そして、実子・信忠の能力に”嫉妬”しまくって、挙句は失敗するのを
待ち始める。この信長像は結構新鮮で楽しめます。
でも最後は息子・信忠に<あんたが、私にイラつくのは、自分が凡俗のになったからって、わかってます?>
なんて切りかえされ、その明朝に本能寺で(今晩は、信忠に謀反されるかも?)なんて怯えていたら、
まったく疑わなかった光秀にやられてしまうなんて...
この作家の本は、「中年宮本武蔵」(武蔵と養子の話)、「信長が宿敵 本願寺顕如」(何故に西、東本願寺となったか?)
といずれも父子物を読了させてもらっていますが、本当面白いです。当たりはずれがありません。
今度は是非、龍馬とか、幕末物読ませてもらえませんか?
大体愚将といわれている信雄ですが、伊賀攻め そして歴史の表舞台に躍り出た、小牧長久手の戦い。 そして大阪の陣と本能寺以降、信雄の名前は度々登場して、天童市に移り織田家を存続させています。 その信雄が戦国時代に果たした役割は大きいと思いますし、違った視点で歴史的解釈ができる可能性があるとも思える内容でした。
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