この物語の独特の世界観を味わって欲しい。
88分と少し短めの映画ですが、内容は密です。
不気味さ、奇妙さ、そして先の読めぬ展開、
ホラー的な要素も少し含んで、一つの村で起きる神隠し事件は実に奇怪。
観ていると鳥肌が立ってくる。
そして、ラストの映像は圧巻です。
面白かった。
怖いのは「石の中の女」くらい。
あとがきで諸星自身も書いているように、中国ものの活劇っぽくなっています。
十四娘という女性妖剣術士が宿敵となり、一、二巻とは味わいが違います。
でも読み終わると、このシリーズ終わったーという感じがして満足感があります。
私の世代にとっては、あじま氏ははやはり「やけくそ天使」の作者のイメージだ。
また、「不条理日記」等のSFネタが狂ったようにぶち込まれた作品の作者でもあった。
しかし、著者には実はこんなに多くの作品があったことが、本書を読んで改めて認識させられた。
著者の「失踪日記」も読んだ。
配管工編はなかなか楽しいが、アル中編は辛いものがあった。
その苦難を経ての今日である。
再評価されるべき時が来たのかもしれない。
美少女マンガ家と良くいわれるが、著者の描く少女たちは美人というよりは可愛いという表現がぴったりだ。
幼女ではなく女子高生指向だから、純然たるロリというよりも若干アダルト寄り。
そのあたりが、文藝別冊にセレクトされた所以なのかもしれない。
まだまだこれから、もっと作品を発表してくれるだろうことを考えると、本書はとりあえずの中間報告であろう。
女子高生指向を維持している間は、あじま氏は現役で居続けてくれるだろう。
期待している。
と言われました。
どうやら大友ファンを名乗るのであれば、是非持っていたい一冊であるようです。
ただ、タイムリーに大友克洋を追いかけた人たちには非常に興味深い資料なのですが、
そうでないファンの皆さんには何が何やら解らないことがいっぱいです。
なぜなら、単行本未収録作品が多数存在するので、評論の対象になっている作品を読むことが出来ない。
絶版になっている短編集が沢山あるので、収録されていても読めない。
といった、ストレスを乗り越え、古本屋を彷徨い続ける覚悟があるなら
是非手に入れてください。
暗黒伝説という作品を読んで、これが続編だとしって即座に購入。むこうにもレビューをしたので参考にしてほしいですが、相変わらずこのストーリーは設定が凄い。
あとがきにのってる「開闢(かいびゃく)から終焉へ、アジアから宇宙へ、神話から科学へ」とは本当にこの通りだ。対極をなすどころかあらゆる無関係な事柄が全て一つの物語に切っても切れない一つでも欠けることが許されない世界観になってる。
モヘンジョ・ダロで悪魔と出会ったときに登場する神官の顔、歴史好きだから見た瞬間にピンと来たんだけど、これ実際に発掘された神官像を絵にしたんだわ(モヘンジョ・ダロでWIKIPEDIA検索すれば画像のってる)。
夏王朝や周王朝、さらには中国神話の黄帝が宇宙創成の科学とも絡んでる。恐竜まで登場するのに破たんがない。
「時間がなぜ過去から未来へしか流れないのかだれにも解明されてはいない」
ハリ・ハラやトリムルティ、梵天の塔、開明獣など、少なくともインド神話、中国神話の用語もかなり出てくる。わけわかんない単語を検索すると実在のものだったなんてこの作品じゃ普通のことで、リアルと物語の区別がつきにくいこの雰囲気は壮大の一言につきる。
百億の昼と千億の夜みたいな。
驚嘆に値する作品だけど前作を読んだ身からいえば、正直いうと前作の暗黒神話より難しすぎてちょうど日本が舞台になる当たりは混乱して結構読み返したり、この人物いつ登場したんだ?っていう名前がいくつか登場もした。暗黒神話のほうはラストまで一気に繋がったけど、こちらは残念ながら話についていけなくなってしまい、一体どういう意味でなにがいいたかったんだろうと疑問をもって終わってしまった。
一応注意深く読んでいたので俺だけじゃないと思う。終盤「器」とか単語の意味を少し解説してくれれば、ここまで凄いストーリーなんだからラストを十分に味わえないのは残念だし悔しい。
|