『長安牡丹花異聞』です。 松本清張賞を受賞してデビューした表題作を含む中国歴史短編集です。表題作を含めて唐(周)を描いた作品が多いです。 六作品いずれも歴史考証はしっかりしているようで、その上で物語が面白く、最後には大きなどんでん返しがいくつか待っていることもあり、目が離せません。歴史を知らない人でも予測不能なストーリーの面白さで楽しむことができて、歴史を知っている人は考証の緻密さに感嘆する、といった感じです。また、作者の持つ医学系理系知識も上手く盛り込んである作品が多いです。 完成度でいえばなんといっても表題作『長安牡丹花異聞』が圧巻です。安史の乱での蒙塵をユニークな視点でコミカルに描いた『殿(しんがり)』なども印象的です。他の作品もレベルは高く、ハズレは一本もありません。 評価は文句なしに★5です。
ミステリーでは連作短編集が大好物の私にとってとりあえず及第点の楽しいミステリーでした
主人公の海老のんが最初は館長のいれてくれるコーヒーと癒される空間で通い始めた、とある漫画家記念美術館 第一話でその館長が、川原姉妹の妹から姉へとめまぐるしく交代しさらにその姉が海老のん好みの美人ときて常連として定着してしまった中、美術館で見聞きする謎を姉にアピールする目的?で次々推理していくわけですが、ライバルや姉の元婚約者も登場し恋はなかなか進展しません・・・
ミステリーとしては第2話以降は面白かったです 殺人事件あり、暗号あり・・はては美術館事態が泥棒に入られる話ありともりだくさん 得に美術館の常連の元警察官の父が娘から出された暗号?のようなものを海老のんの協力で解いていく話が好きです 父娘の今後?がなにげに気になりました どれも短編としては丁寧な作りで交換が持ててました 第一は序章みたいなもんだからあんなものでしょう
キャラクターも妹のあかねぶーやコンビニのオネエ言葉店長など他の登場人物も個性豊かで楽しめました
ただ女性の立場で一言いわせてもらえば、妹のあかねの描き方があまりにも容姿に関して酷いかなということと海老のんが美人の姉に夢中になりすぎているのが結局男は容姿でしか女を見てないのかという気分に物語を読むたびにさせられてすごく露骨だったからなんかなあとそこだけがちょっと・・ということで★はひとつ減らしました
だって性格なら明るくて気のいいあかねぶ〜の方が断然いいですもん 姉は男性に対して態度をはっきりしないので(単に容姿で得してるだけだろ〜)何?って感じです 海老のんが文中あかねをデブでオタクでメガネでとことあるごとに表現しているのがNG
少々不愉快になってしまいました
宋の時代、皇帝に任命された巡按御史は、身分を隠して、各地へ赴き、悪事を暴いていた。巡按御史の印として持っていたものは・・、とここまでは、水戸黄門っぽい設定。 主人公の若い巡按御史は、皇帝の落し子。それを隠して、相棒たちと、各地で、冒険と謎解き、そして、悪党退治をして行きます。勧善懲悪ものです。5つの中篇からなります。 重々しい事件や、陰惨な事件は、ほとんどなく、地方の役人や小悪党を懲らしめていくもので、明るい気分で、気安く読めます。主人公の相棒たちが、また個性豊かで、主人公とのやり取りは、掛け合い漫才っぽく、楽しいものです。 話自体もですが、宋の時代の食べ物や、文化、産業の等興味深かったです。世知辛い世の中を、憂さを忘れさせてくれる1冊です。
希代の烈女即天武后に仕える宦官と女官の美麗双子が、ひと癖もふた癖もある後見人や今をときめく売れっ子伎女さんなどの魅力的な脇役陣に固められながら次々と怪事件を解決していきます。最後の事件を読み終えたとき、「おお!、そうだったのね!」となり、「ううっ、続きが読みたい・・・」となること必至。
日本を舞台にした、「あやかしもの」とは少し違う。宮部みゆき、畠中恵などとは同じようなあやかしをテーマにしながら、作風が違う。彼女たちのあやかしは、なんか、浮世離れしています。(当たり前ですがね)小野不由美なんかとも微妙に違う。
どちらかと言うと、森福都の方が、リアリティがあるのですね。物語自体は途方もないお話なんですが、なんともリアリティがあるのですね。あやかしよりも、生身の人間の方が遙かに恐ろしき存在であることが物語にリアリティを与えているのでしょう。
兎に角、面白い!に尽きます。少年が成長した続編が出れば良いのですがね。
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