打ち込みでハードコアな音楽といってイメージされるど真ん中な音、
それに沿った直球そのものの歌詞と思想、そして行動
それらが結実した盤は、思うほど多くない。
というか、隆盛を極めたこの分野でも本気の切迫度を持ちつつ
且つ一般リスナーが聴ける水準までの完成度を最後まで維持しつづけられたのはアタリが唯一と言っていい。
いわゆる本物である。
最初の134Pが難関、世界史講義が延々と続く。日本人にとってこの世界史講義はこれまでの教育のバックグラウンドも違うので苦痛なもの、筆者はこの前段があっての後半の議論とは言うが、135Pから読んでも特に大きな問題ないと思う。前段がつらくて本棚にしまう、買うのをやめるというぐらいなら後段から始めたらと思う。(少なくとも末尾の用語説明を読んでいれば議論にはついていける)
後段は筆者の示唆に富む未来図を語っており、大変示唆深い。ここまではっきりと議論ができる人(かつ、世間から相手にされる人)は少ないのではないだろうか。しかし、これは避けなければいけない未来であり、回避すべきために何をすべきかと問うアンチテーゼだと私は信じたい(多くの同テーマのハリウッド映画がそうであるように。例えば、この本を読んでBack to the Future 2を思い浮かべたのは私だけではないと思う)。
さて、想定している未来に15年後の2025年という未来の一時点が多く出てくる。話自体は空想めいた話のようにも見える。しかし、今から15年前のことを考えてみるとそうではない。15年前にここまで現代が個を拘束される世の中になっている世の中になっているということ、たとえば、携帯電話、モバイルPCを通じて個が縛られるということは想像できていただろうか。世の中の総意だっただろうか?そうではないだろう。そう考えると筆者の未来予想図も強ち絵空事でもないと思える。そして、皆の理想論と現実は違うということを思い出させる。
ただ、この本を読んだ人に世の中はこうなってしまうんだなと思ってもらいたいのではなく、こうならないようにするためにどうしたらいいのかということを悩み、大きな力につなげていってほしいということが込められているのではないかと思われる。
以前テレビCMで耳にしてアルバムを購入しましたが、しっかりした音源を聴くと、この人の声(発声というべきかな)は素晴らしいですね。
倍音がとてもきれいに響いています。
昔、数年だけ声楽に触れる機会があったときに学んで以来気にしながら聴くようになりましたが、
独唱でこれだけの倍音を響かせているアーティストはめったにいません。
まあ、今は声にもいろいろエフェクトをかけられるので、意図して強調させている可能性はありますが、
そうだとしてもそこを強調するスタッフがいるとすれば、発声にかなりこだわりを持ち、
この人の発声の魅力を活かそうという作りをしているのだと容易に想像できます。
誰かの二番煎じとか批判して狭い範囲にくくってしまう人がいますが、少なくともこの点に気付かないのであれば、
「ありとあらゆるジャンルの曲を、選り好みせずある程度聴いた」 とはとても言えませんね。
音楽はそんな簡単に狭くくくってしまえるものではありません。
読んでいて恥ずかしくなりました(笑)。
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