素晴らしい本です。自然という大いなる存在に対して謙虚にその摂理を観察し、その営みに沿って恵をいただくという自然農の考え、実践、生き方が、この本の至る所に流れているからです。人間にとって都合の良いものだけを作り、それ以外は排除するという自己本位に自然を変えて食料を得ようという傲慢な考えはありません。 最初の章では、畑の準備、作物の選択、種の降ろし方、育苗、草への対処、収穫、虫・鳥・獣による食害の対処、自家採種、野菜の出荷販売など、自然農の視点から、自然の営みに則し、いのちの活動を豊かにして行くポイントが、語りかけるような口調でわかり易く書かれています。この本が単なるマニュアルに終わっていないのは、いかにしたら変化する自然の営みを邪魔しないで手助けが出来るのか、という問いかけが常に著者自身になされ、その生き方をしてきたからでしょう。
また、次の野菜別の作り方の章では、著者自身の体験からの言葉で書かれています。特にトマトの裂果を防いだやり方などは、とても参考になります。しかも、野菜の特性や栽培のポイントだけでなく、具体的な野菜の種が紹介されています。これは自然農をやろうとする人、やっている人には、とても有益な情報です。というのも、通常市販されている野菜の種はそのほとんどが農薬・化学肥料を前提としたものが多く、自然農の畑に合う種を探すのは、とても苦労するからです。この本に載っている種のすべてが、すべての畑に合うとは限りませんが、大いに参考になるのは間違いありません。今まで失敗続きでも、この種の選定を参考にすれば今までにない恵をいただくことが出来ると思います。
そして農作物の加工・保存の章では、収穫できたいのちを無駄にしないで、より生かすという観点からいろいろと紹介されています。いのちを活かそうという思いが伝わってきますね。
人間は自然の一部であることは紛れもない事実です。その自然の一部でしかない人間が自然そのものを超え、それをコントロールしようとすることは不可能であり、実際、その考えが現在の深刻な環境問題を招いています。大切なことは、多くのいのちのつながりの中で生かし生かされていることを体感し、自然の営みに合わせた生き方をしていくことではないでしょうか。この本は、そのことを静かな声で語りかけています。そして、その声を聞く人には、心を呼び覚ます確かな声となって響くはずです。
なお、この本と合わせて「自然農・栽培の手引き 」(鏡山悦子著 、 南方新社)「百姓が地球を救う」(木村 秋則著、東邦出版 )「幸せな牛からおいしい牛乳」(中洞 正著 、コモンズ) も同じくとても良い本ですので参考にしてください。
今年発売と言うことで買ってみました。 見た目もオシャレで作ってみたい!と思う作品が多いです。 が、自然素材と言う事もあって、初心者には少し難しい気もします…(^-^;
八丈島のクサヤは思ったほど臭くないので(それなりに臭みは口に残りますが)、東京育ちの私でも大丈夫です。軽くトースターであぶってたべると美味しいです。
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