人生に笑いを、桂米丸門下桂歌丸は平成17年噺家ではまれな芸術選奨に輝いた(怪談牡丹燈籠他で)。本書は勧められて落語人生、初の芸談一代記をまとめたものである。昭和43年、真打ち昇進、やがて掴んだ長寿番組「笑点」レギュラーの座を固めている。話すように書いた本書、どこもすっと入って面白いのだが、はっといいこと言っているなと感心させられること、それは「創る能力、捨てる能力」が共に大事であるということになる。新作をやっていると、古典に生かせることがある、変えていい噺と変えてはいけない噺もあるので、それは長年の経験でこつを覚えねばならない。人生何事にもこの心得が大切。脇役好きの人柄である歌丸。古希直前でなお気も心も若い(雅)
笑点で司会を務めることになったあの歌丸さんの落語です。
これは落語というよりは長い因縁から起る連続殺人事件(?)の噺。
この複雑怪奇な噺を歌丸さんのすばらしいしゃべりが見事にコントロールします。それでそれで!!??と手に汗握る展開、あっという間に噺の世界に私たちを引き込みます。
なんといっても彼の張りのある美声!是非是非聞いて下さい!!
笑点で見せる優しい笑顔と丁寧な語り口は、落語でも同じなんですね。なんと分かりやすい、親しみやすい芸でしょう。2演目ともあまり多くは演じられない噺ですが、独自のくすぐりも入れながら、見事に現代に通用する魅力的な噺に仕上げています。「質屋庫」は、旦那に庫の番を頼むために呼ばれた気の弱い店の男が、ついにバレたかと酒や沢庵の樽をくすねていたことを自らどんどん明かしていってしまうところが何とも可笑しい。「菊江の仏壇」は、若旦那の嫁のあまりに悲しい最期とその後のサゲまでの噺の展開のギャップが激しすぎて、戸惑いながらも笑わずにはいられない珍しい噺。…笑点での歌さんしか知らない方には、是非聴いていただきたい一枚です。スゴい人です。
発刊日は古いのに書店に置いてあるから何かあると思い購入。著者は故人。博学。説明はとても理論的。読むに骨が折れる。ただ、読んだぶんだけ力は付く(四柱推命をより深く知ることができる)。命式表、星形図と大運図はとても気に入っている。
落語好きとしては、「笑点」を中心とする「落語家バラエティーショー」は疑問だ。この番組で「気障でお高い」印象で売り出すた小円遊が自殺に等しい憤死をしたのも、この種番組で作られてしまうキャラクターによって、多彩な落語の世界の表現を制限されてしまうからである。
歌丸師匠は、「笑点」において辛口の論評をする「長老」役を「演じている」が、本業の本質はそこにはない。
ありふれた噺を丹念に演じ、やり手のいなくなった噺の復活につとめているのである。
ぜひ、こうした真摯な姿を広く知ってほしいと思う。
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